日々仕事をしていると様々な場面で意思決定を求めらます。私生活においても同様かもしれません。
私たちの仕事は、常に選択と決断の連続です。
会議でA案とB案どちらを選ぶか。予算配分をどうするか。優先するプロジェクトはどれか。トラブル発生時にまず誰へ報告するか。二つの依頼がバッティングした時、どちらを優先するか。
こうした意思決定は、リーダーだけでなく、すべてのビジネスパーソンに求められます。
優秀なリーダーと言われる人々は、最適なタイミングで、最適な決断を下すことが多いです。
限られた時間の中で最適な意思決定を行うのは簡単ではないですが、できることなら優秀なリーダーのように、高い精度で迅速に決定したいものです。
では、どのようにすれば意思決定力(意思決定する能力)を高めることができるのでしょうか?
本記事では
・意思決定のプロセス
・どのように意思決定力は身につくか
・どんなトレーニングをするか
・効果としては何を期待できるか
を紹介しています。
上司やリーダーのように意思決定ができるようになりたいと思っている方、部下の能力を引き上げたいと思っている方など、スキルアップの方法を探している方々に是非ご一読いただきたいです。
<筆者プロフィール>
・会社勤め35年、ITエンジニア
・大手IT企業・ITベンチャー・事業会社IT部門を経験
・事業責任者や部門長として、人材育成・採用・組織運営を長く経験
・個人事業主としても活動、マイクロ法人も設立・運営
意思決定のプロセス
一般的に意識決定のプロセスは次のようになります。
・問題・課題の明確化
・必要な情報を収集
・多角的な分析
・現実的な選択肢の検討
・実行可能性の評価
・最適案の決定
・実行と結果の評価
優れたリーダーは、このプロセスを状況に応じて的確に回し、必要なスピードで判断を下します。そして、結果を丁寧に振り返り、自らの意思決定を修正・改善し続けています。
各プロセスについては、それぞれに手法やツールなどが既に多くあり、たくさんの研究もなされているので、ここでは割愛します。というのも、プロセスの一つ一つについて能力を高める話ではなく、もっと手軽に現実に即して能力開発する方法を紹介したいと思っているためです。
意思決定力はどう身につく?
意思決定力を身につける手っ取り早い方法は、現実的には実行は難しいですが、何度も意思決定を試していっぱい失敗することです。
しかも、A案を実行して失敗、B案を実行して失敗、C案を実行して成功、というように順番に時間をかけて確認していけると、確実に経験を積めて意思決定力は高まります。要するに意思決定と結果確認を数多く経験することで身につきます。
しかしながらビジネスの場面ではこんなに待ってはもらえず、限られた時間のなかで意思決定し、しかも良い結果を求められます。意思決定が必要となる実ビジネスの場面で能力を高めようと思っても、時間をかけて取り組めないのが現実です。
ではどうすれば意思決定力を鍛えることができるか?
実ビジネスで鍛える機会が少ないなら、その前に意思決定の訓練をしておけば良いだけのことです。
スポーツなどにおいて、試合で良い結果を残すために、何度も練習を繰り返すのと同じです。
ここで問題は、どのように訓練すれば良いかですが、これまでの人材育成の経験から、直ぐに取り組めて効果がでるお勧めの方法があります。それが「自分ならどうする?」です。
「自分ならどうする?」
訓練のやり方を説明します。
ステップ1:自分の考えをもつ
日々の仕事のなかで身近なリーダーが意思決定する場面があると思います。そのときに必ず「自分ならどうするか、なぜそうするのか」を考えることです。できれば、リーダーが意思決定するよりも前に「自分なら」を考えるほうが良いです。
ステップ2:比較し分析する
次に、リーダーの意思決定と自分の考えを比較して下さい。リーダーと自分とで考えが違う場合、何が違うのか、なぜ違うのか、可能な限り分析します。考えが同じ場合でも、なぜ同じなのかを分析します。
ステップ3:結果を評価する
そして意思決定の結果がでたときに、振り返りをもう一度します。リーダーの考えは正しかったのか、自分の考えはどうだったのか。
ステップ4:判断基準を修正する
最終的に全体を振り返って、異なる判断や結果にいたった原因である「自分の判断基準」を修正していきます。
これらのステップを機会あるごとに繰り返し取り組みます。
リーダーと自分で考えが違うとき、リーダーにそれとなく質問してみるのも良いかもしれません。ただし質問するのは、必ず自分の考えをもった状態で行ってください。
繰り返しこの訓練を続けていくと、いずれはリーダーと同じ意思決定に至るようになってきます。そしていつも同じ意思決定になったとすれば、あなたはリーダーの役割を担えるほどの意思決定力を備えていることになります。
すなわち、リーダーと同じレベルの意思決定力にスキルアップしています。
このトレーニングには副次的なメリットもあります。
・判断の裏側に思いを巡らせることで視野が広がる
・「なぜ?」を繰り返していくことで理解が深まる
・より高い視座で物事を俯瞰する機会を得られる
特別は準備を必要とせず、今すぐにでも取り組めて、誰にでも効果を期待できるトレーニングですので、是非とも試していただきたいです。
まとめ
意思決定力は、リーダーだけでなくすべてのビジネスパーソンに求められる重要なスキルです。
本記事で紹介した「自分ならどうする?」というシンプルなトレーニングは、日常業務の中で取り組める非常に実践的な方法です。
自分の考えを持ち、それを他者の意思決定と比較・分析し、結果を振り返って判断基準を修正する。このサイクルを継続的に行うことで、確実に意思決定の精度とスピードは向上します。
さらに、視野が広がり、より高い視座から物事を見られるようになるという副次的な効果も期待できます。
リーダーの意思決定に近づきたい、部下の判断力を高めたいという方は、ぜひこの手法を試してみてください。