フォルツァ(MF13)のブレーキフルードを交換するための手順を紹介します。
今回はフロントブレーキの交換手順のみの紹介です。リアブレーキについては別記事で公開予定です。
本記事の内容:
- ブレーキフルード交換のタイミングは?
- 交換作業に必要な道具は?
- どんな作業手順になる?
- 作業での注意点は?
- 自分で実施するメリット/デメリットは?
ブレーキフルード交換はそんなに難しい作業ではないので、自分でやってみたい方の参考になればと思います。
なお今回は、コスト削減に挑戦ということで、100円ショップで道具を調達して実施してみました。
ブレーキフルードの交換を自分でやるメリット/デメリット
メリット
まず、フルード交換を自分で行うメリットは
- 比較的安く作業を実施できる
- ブレーキ周りの状態を自分の目で確認する機会になる
- 自分のスケジュールで交換ができる(予約や空き状況の確認が不要)
といった点が挙げられます。何と言ってもコストメリットが大きいです。
デメリット
一方で、自分で作業するデメリットとしては、
- 作業の手間がかかる
- 作業場所を確保する必要がある
- 空気が入ってしまうとブレーキのトラブルにつながる
といった点があります。これがバイクショップに依頼する理由にもなりますね。
空気が入っていしまうと、エア抜きの作業が必要になりますし、場合によっては別の道具も必要になりますので、注意が必要です。
ブレーキフルードの交換時期は?
ブレーキフルード交換のタイミングは2年毎です。※出展:ホンダ社サイト
車検のあるバイクなら、車検のタイミングで交換するのが無難だと思います。
250ccなどの車検がないバイクは、忘れないように自分で交換時期を意識しておく必要ありです。
実際のところ2年でフルードが駄目になるかというと、必ずしもそうではないかもしれませんが、あまり時間が経過するとフルードが劣化してきて、ブレーキの感触が変わってきます。
今回フルード交換したフォルツァは、だいぶ交換を引っ張ってしまって、ブレーキがぎこちない感じになってました。なので、交換後にブレーキの感触が復活したときは、なんか嬉しくなってしまいました(笑)。
ブレーキフルード交換に必要な道具
今回の交換作業の道具は100円ショップで調達です。

後述の手順でも説明しますが、このパイプは次の写真のように使います。この太さで大丈夫なのかと思うかもしれませんが、ちょうど良い感じです。取り付けの際に、かなりゴリゴリと押し込む感じにはなりますが…(笑)。
※ 本来はメガネレンチを取り付けてから、ビニールパイプを取り付けますが、下の画像では分かりやすいように、ビニールバイプだけを取り付けた状態です。

ビニールパイプとは別にブレーキフルードそのものを購入しましたが、交換作業のための道具として購入したのこのビニールパイプのみです。金額はもちろん 110円(税込み)です。
その他の道具として、手元にあった下記のものを使用しています。
・メガネレンチ 8mm
・プラスドライバー
・空のペットボトル
・ガムテープ




なお今回の作業では、YAMALUBEのブレーキフルードを使用しました。他のものより少し安かったので。ここでもコスト削減に挑戦です。

交換作業の手順
ブレーキフルードの交換作業の手順を、順追って説明していきます。
ビニールパイプを準備する
ビニールパイプは、40cm〜50cmの長さで切り出しておきます。

ブリーダープラグにビニールパイプをセットする
ブリーダープラグを開閉するためのメガネレンジと、古いフルードを排出するためのビニールパイプを、ブリーダープラグに取り付けていきます。
まずは、ブリーダープラグのカバーを外します。画像の矢印の部分がブリーダープラグです。


次にメガネレンチをセットし、ブリーダープラグにビニールパイプを取り付けます。

ビニールパイプの反対側をペットボトルにセットする
排出されたフルードをペットボトルに流し込むため、ビニールパイプの反対側をペットボトルに差し込んで、はずれないようにガムテープで固定します。
ペットボトルには、転倒防止のために、少し水を入れておきます。

マスターシリンダーの周りを養生する
マスターシリンダーの蓋を開けるために、周辺を養生します。
マスターシリンダーはブレーキレバーの横にある黒い箱状のものです。
ブレーキフルードがこぼれると塗装が剥がれたりするらしいので、周辺を保護します。


マスターシリンダーの蓋を開ける|とにかく固いので要注意!
マスターシリンダーの蓋を開けます。
蓋を固定しているネジが、とにかく固くしまっているので、ネジ山をなめないように注意が必要です。
ネジの回し方のイメージは、「ドライバーに自分の体重を全部乗せるくらいの勢いで下に押し付け、押し付けたままゆっくりと反時計回りに数mm動かす」といった感じで、とにかく集中してのちからワザです。
ネジは一旦緩めば、あとは問題なく外れます。
マスターシリンダの中蓋をはずす
マスターシリンダーの中の白いパーツを外します。

次に、黒いゴム製のパーツも外します。

マスターシリンダーの中のブレーキフルードが見えます。

外した蓋などのパーツはきれいに拭いておきます。
ブレーキフルードを入れ替えていく
ここからは下記の①〜⑥の作業を繰り返して、ブレーキフルードを入れ替えます。
作業イメージは、ブレーキシステムの中に充填されているフルードを、下から徐々に抜いて、減った分を上から継ぎ足していって、最終的にそっくり入れ替える感じです。
作業の際は「少しずつ・そっと・優しく」操作するのがおすすめです。ブリーダープラブの締めつけトルクが6N・mくらいなので、とにかく優しく操作する必要があります。
以下が繰り返す作業です。
①ブレーキレバーを少し握る
②メガネレンチでブリーダープラグをそっと緩める
③フルードがビニールパイプに少しずつ流れ出てくる
④ブレーキレバーが軽くなるので、急いでブリーダープラグを優しく締める
※フルードが流れ出た分、レバーが軽くなる
⑤ブレーキレーバーをはなして、レバーを元に位置に戻す
⑥マスターリシリンダーの中のフルードが減ったら、新しいフルードを継ぎ足す
ここで最も注意が必要なのが、次の2点。
・「必ずブリーダープラグを締めて(④)から、ブレーキレバーをはなす(⑤)」という順序を守る。
この順序を守らないと、ブリーダープラグから空気が逆流して、本来はフルードで充填されるはずのブレーキシステム内に空気が入り、ブレーキが効かなくなります。エア抜き作業が必要になります。
・「マスターシリンダーを絶対に空にしない」こと。
もしマスターシリンダーが空になると、マスターシリンダー側からも空気が入り、ブレーキが効かなくなります。エア抜き作業が必要になります。
①〜⑥の作業を進めていくと、フルードがビニールパイプに排出されて、下の写真のようになります。

排出されたフルードは、ペットボトルの中で水と混ざって乳白色になってます。

マスターシリンダーへの新しいフルードの継ぎ足しを2回くらいやると、大体はフルードが入れ替わった感じではないかと思います。
マスターシリンダーのフルード量を調整し、蓋をする
最後に、マスターシリンダーの中のフルードの量を調整します。
内側に線があるので、液面をその高さに合わせます。
線より少し下に液面を合わせるほうが良いです。蓋をしたときにあふれる場合があるので。
最後に、蓋を開けたときと逆の順に、ゴム製のパーツ、白いパーツをセットし、最終的にマスタシリンダーの蓋をネジ止めします。

全体的に確認する
ブリーダープラグに取り付けたビニールパイプを外し、余分なフルードを拭き取ります。
マスターシリンダー周辺、ブリーダープラグ周辺から、フルードの漏れがないことを確認します。
最後に、ブレーキが問題なく作動するか確認します。
すべて問題なければ、作業完了です。
まとめ
フォルツァ(MF13)のブレーキフルード交換は、作業内容としては意外とシンプルです。
作業イメージは、ブレーキシステムの中に充填されているフルードを、下から徐々に抜いて、減った分を上から継ぎ足していって、最終的にそっくり入れ替える感じです。
注意点は次の3つで、とても重要なポイント。
- 操作は「少しずつ・そっと・優しく」
- 必ずブリーダープラグを締めてからレバーを戻すこと
- マスターシリンダーが空にならないよう注意
100円ショップのビニールパイプと、空きペットボトル、ガムテープなどで十分に作業は可能で、かなりの低コストで交換作業が実施できます。
ただし、ブレーキは命に関わる重要パーツですので、作業に自信がない場合は迷わずバイクショップ等に相談しましょう。